高知家のIT~Work from KOCHI~

2018.12.19

ミニ交流会『元スクウェア社長・武市智行氏が高知の“これから”を語る「IT・コンテンツ産業×高知の未来」』開催レポ

2018年12月11日、高知家IT・コンテンツネットワーク第5回ミニ交流会「元スクウェア社長・武市智行氏が高知の“これから”を語る「IT・コンテンツ産業×高知の未来」が開催されました。

今回のミニ交流会は、8月4日に開催したミニ交流会と同じく、シビレ株式会社との連携により、メディア限定のイベントとして開催。IT・コンテンツ領域や、スタートアップ・イノベーションの領域のメディアにご参加いただきました。

今回のイベントは、高知県IT・コンテンツ産業振興アドバイザーでもあり、高知家IT・コンテンツネットワークの立ち上げにもかかわった武市智行さんと、オルトプラス代表取締役CEOである石井武さんをお招きし、ローカルの未来に必要な「IT・コンテンツ産業」と、「これからの高知」について語っていただきました。
高知家IT・コンテンツネットワークでは、昨年、武市さんへのインタビューも実施していますが、今回のイベントは、武市さんがこれまで取り組まれてきたことについて、高知県に可能性を感じて、高知県内にゲーム会社を設立した石井さんとの対談を通じて、さらに深めていく機会となりました。

イベントは、まずシビレ株式会社の鈴木翠さんの司会で始まり、乾杯をした後は、参加者全員で自己紹介。


クリスマス仕様になったバーを会場に、スパークリングワインで乾杯。

乾杯後は、イード株式会社の山﨑浩司さんのファシリテーションにより、対談は始まりました。まずは、武市さんと石井さんの自己紹介として、それぞれの高知県と、IT・コンテンツ産業との関わりについてお話しいただきました。

高知出身の武市さんは、四国銀行に入行後、スクウェア(現スクウェア・エニックス・ホールディングス)に出向したことからコンテンツ産業に関わるようになり、四国銀行退社後は、スクウェアやドリーミュージック、AQインタラクティブ(現マーベラス)等で社長を歴任。そうした経歴を買われ、高知県がIT・コンテンツ産業の誘致を始めるにあたり、高知におけるIT・コンテンツ事業の活性化支援に携わるようになったとのこと。
石井さんは、2000年にコンシューマーゲームの世界に入り、2010年5月に株式会社オルトプラスを設立。高知との関わりは、2013年に高知で開催される「マンガ甲子園」の審査員を務めたのが最初とのこと。以後、石井氏は、高知県には2015年4月に株式会社SHIFTPLUS、2018年5月に株式会社オルトプラス高知を設立し、高知で事業を展開されています。


「まんが甲子園」で、コンテンツ領域にかける高知の熱気に驚いたと語る石井氏

その後は、「高知家IT・コンテンツネットワーク」を立ち上げる経緯についてもお話しいただきました。
武市さんは、高知にはどうしてもエンジニアが少なく、首都圏の人材や知見を取り込む必要性を痛感したことから始まったと話された。一方、石井さんからは、高知県の良さや特色を、地元の人はなかなか気づかず、発信もされていないため、首都圏でほとんど知られていないという現状があり、地域の外から来た人が、そうした高知の特色を発信していく必要があるという実感を語られた。

次に、司会の山﨑さんから投げかけられたのは、「短期間のうちに、高知に18社ものITコンテンツ企業が集積するに至った決め手とは何だったか?」という質問。

この質問に対しては、誘致を行う高知県が熱心であることとともに、高知には、「若い人がチャレンジできる場」を作ることができたということが挙げられました。
これまでは、チャレンジをしたい人々は高知県の外に出て行ってしまうことが多かったそうですが、石井さんが事業を展開させた株式会社SHIFT PLUSや株式会社オルトプラス高知などにおいては、20代の人々が社長として高知での事業に挑戦してくれたことで、高知に「挑戦できる風土」が生まれたのだそう。また、高知では、現地採用の社員どうしが、もともと知り合いであったり、共通の知人がいるというケースが非常に多く、一晩お酒を飲むだけでチームビルディングが容易にできる環境であったことや、20代の若手が社長となったことで、オープニングメンバーと同じ目線でがんばることのできる状況を作れたことも、良い方向に働いたとのこと。また、地方では、首都圏に比べ娯楽が少ないこともあり、ゲームを長時間楽しんでいるユーザーが多く、ゲームのデバックやサポートといった仕事に業務に熱心に取り組んでくれるスタッフが多いそう。こうした特徴から、地方には首都圏に比べ、スタッフの「当事者意識」が生まれやすいという特徴があるのではないか、と石井さんは分析されていました。

「夢とやりがいのある仕事があることが大事」だと語る武市氏。

また、高知の地理的条件にも様々な利点があることが挙げられました。高知県は、面積は広いものの、人口は高知市周辺に集中しており、空いた土地が多いことから、AIによる自動運転やドローンを飛ばす実験などが行いやすく、IT・コンテンツ企業の進出にあたっての利点の一つとなっている様子。
また、Iターン人材やUターン人材にとっての移住の決め手となる要素についても話され、武市さんからは、やりたいと思える仕事があるならば、極端に田舎すぎない高知はバランスがとれているのではないかというご意見も。石井さんは、IターンとUターンでは求職のスタンスが違うということを指摘され、Uターンの方々は、自身や家族のライフステージなどに応じて、数年先まで見越した息の長い求人活動をしているのに対し、Iターンの方々は「面白い仕事があれば行く」というスタンスであることを挙げられた。

その後は、参加メディアからの質問タイムへ、武市氏と石井氏が出会った経緯、それぞれにとってお互いがどのような存在であるかという質問や、Iターン人材が高知に長く定住するための秘訣、海外人材の獲得についてどう思うか、など、様々な質問が投げかけられ、イベント終了時刻の22時を回っても熱気の冷めない盛況なイベントとなりました。

イベント終了後も、盛り上がりが続く会場。

今回のイベントについては、取材いただいた各メディアからの発信とともに、イベントの様子も、後日オンラインにて動画で公開予定です。動画からも、高知のIT・コンテンツ業界の今とこれからを感じていただければと思います。

年明け以降も、「高知家IT・コンテンツネットワーク」では、今後も情報を更新していきます。これからの活動にも引き続きご期待ください!

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