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VRで変わる高知の未来 ~高知のIT活用プロジェクトインタビュー~

農業、教育、観光…高知では、ITを活用して変革を起こしている人やプロジェクトがいくつもあります。

2020年に高知で開催された「VR・XR体験デーforよさこい祭り」というイベントによさこい演舞の動画撮影から、VRで体験できる設備実装の技術面まで幅広い支援を行った高知工科大学情報学群所属の繁桝 博昭(しげます ひろあき)教授にお話を伺いました。

※VRとは、Virtual Realityの略で「仮想現実」「人工現実感」のことを言います

よさこいだけではなく、医療や農業に対する課題解決、新しい観光の形などVR活用による高知の可能性はどんなものがあるのか?についてもお伺いしましたので、ぜひご覧ください。

繁桝 博昭教授プロフィール

高知工科大学情報学群教授 博士(心理学) 1973年生まれ。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。
東京大学インテリジェント・モデリング・ラボラトリー中核的研究機関研究員、豊橋技術科学大学インテリジェントセンシングシステムリサーチセンター特任助教等を経て2011年より現職。
2020年に「高知よさこい交流館」にて、VR技術を使ったよさこい体験イベントに協力。

 

心理学研究のためVR活用へ

 

ーー 繁桝さんは高知工科大学の教授をされているとのことですが、どんな研究をされているのでしょうか?

心理学が専門です。

カウンセリングのような心のケアや、他者との関わりについて扱う社会心理学などの一般的な心理学のイメージと違って、私は「知覚心理学」という、目に見えるものに対して人がどう反応するかということを研究しています。VRなどの映像を使うと、その映像に対して脳が反応することで私たちはそこにリアルな世界を見るという体験ができます。

その時に脳がどんな活動をしているのか、どのように見えるのか、というのは物理的世界の問題ではなくて心理的世界の問題であり、その研究をするための1つの道具としてVRを使うようになりました。

 

VR技術を使ったよさこい体験

 

ーー よさこいでの取り組みについて教えてください。

2020年11月に、高知市にある「よさこい情報交流館」で、VR・XRでよさこいを体験できるイベントが開催されました。

もともと、毎年東京で「一般財団法人ドリーム夜さ来い祭りグローバル振興財団」主催の、「ドリーム夜さ来い祭り」というよさこい祭りが行われていました。2020年はコロナ禍で従来のようにお祭りが開催できないということで、VRを活用する企画が立ち上がったそうです。

そこから「VR技術を使ってよさこいが観られないか?」と、高知工科大学へご連絡を頂きました。

 

ーー 依頼されたのが始まりだったのですね。

はい。ちょうど「見る」だけでなく「動き」に関しても興味が出てきたところだったので、お話を頂いた際、VRを使った身体と関わる企画というのが面白いと思いました。

三次元的な空間の中で踊りを見た時に、「人はどういう感動があるのか」と興味が湧き、お手伝いさせていただくことになりました。

 

ーー 一般の方に体験をしてもらって何か発見はありましたか?

高知ではVR体験ができる機会は珍しいですし、体験会で見えた映像も、自分が踊り子の隊列の真ん中にいるような、普通見られないものだったので、子どもからお年寄りまで楽しんでいました。

また、体験された方の反応の違いで気がついたのですが、VRで映像を見たときに三次元に見えるのは、視覚的な情報を脳が適切に処理しているからなので、普段からこうした装置に慣れ親しんでる人とそうでない人、年齢などによって、同じ映像でも見え方が違うのかもしれないと思いました。

おそらく年齢によって好みも違います。若者は視点がガンガン変わって激しいものが好き、高齢者は視点が固定されて見える方がいいとか、そういう違いがありそうです。

 

ーー なるほど、ユーザーによって最適な見せ方などがあるのかもしれないですね。

そうですね。映像が見やすい装置とか、人に易しい3Dの出し方とか、みんなが同じように楽しめる映像の出し方とか、そういう応用にも繋がる大事なポイントですね。

 

VR活用による高知での可能性は?

 

ーー VRを活用すると、高知でどんな可能性が広がるでしょうか?

高知の良さを伝えるツールとして使えると思います。

都会だと、一見綺麗な区画も少し視点をずらすと看板や電柱など別のものが入り景観が損なわれる可能性がありますが、高知は360度どこを観ても綺麗な景色が広がっています。VRを活用すると、キャンプや釣りの開放的な雰囲気,海や山の自然の雄大さなど、広々とした「空間」が伝えられます。

一部を切り取って演出したいわゆる「インスタ映え」とは逆で、その場の空間にいる感覚自体を売りにできるかもしれませんね。

また、よさこいはよく「観るものではなく踊るもの」と言われますが、真夏の炎天下よりクーラーの効いた部屋で体験できるのだったら、その方がいいと選ばれる方も多いのではないでしょうか。

体験型観光の形も新しくなるかもしれません。

 

ーー これまで、写真や動画で伝えていた高知の魅力が、「空間」「擬似体験」という新しい形で伝えられるようになるのですね。

そうです。他には、農作物のPRにも使えます。どんなところで作られているのか、生産者のこだわりの環境をVRで配信できると、消費者にとって分かりやすいですし、より安心して買ってもらえるようになるかもしれません。

さらに、高齢者とのコミュニケーションツール、リハビリなど、アイデア次第でさまざまな応用ができます。遠方で高知に来られない方・人混みが苦手な方・病院にいて活動ができない方の課題解決にもつながりそうですね。

今後、5Gが広がって遅滞のない映像が届けられるようになれば、さらに可能性が広がります。

 

ーー ワクワクしますね!ありがとうございました。

 

まとめ

 

VR技術は、アイデア次第でいろんな分野に応用できます。

美しい自然、ゆったりとした時間、よさこい祭りのパワーといった高知の魅力は、「そこにいる感覚」を体験できるVR技術とは相性が良いのかもしれません。

高知の強みや課題に対して、VR技術を用いてアプローチができそうだなとワクワクする取材となりました。

高知県では、ITを活用した面白い活動がいくつもあります。「高知家IT・コンテンツネットワーク」では引き続き情報発信をしていきます。また高知の活動に詳しいスタッフに個別相談をすることもできます。

地域課題に興味がある方、IT技術を用いてアプローチしてみたい方はぜひご登録いただき、活躍できる場を探してみてください。

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主催:高知県商工労働部産業デジタル化推進課

事務局:株式会社SHIFT PLUS

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