高知家のIT~Work from KOCHI~

2024.2.15

仕事も暮らしもフレキシブルに楽しむ。(e-Janネットワークス株式会社:李 東奎(リ トンギュ)さん)

大学で研究員をしていた李 東奎リ トンギュさん。偶然の出会いから、現在勤めている「e-Janネットワークス株式会社」にアルバイトで勤務し、現在は正社員として、自社製品の検証部門でマネジメント全般を担当されています。

今回は、そんな李さんに高知での働き方や暮らし方について伺いました。

プロフィール

韓国のソウルで生まれ、大阪で義務教育を受ける。その後、高知大学へ進学し、卒業後は研究員として全国各地の大学を転々とする。そのような日々を送るなかで、高知大学と縁があり、再び高知へ。現在は、e-Janネットワークス株式会社の高知テクニカルセンターで自社製品の検証作業を担当。副業で大学講師を勤めている。

 

研究員として全国を転々とする日々。県外に出たからこそ分かる高知の良さ。

ーソウル出身、大阪育ち、高知在住…いろいろとお聞きしたいのですが、まず高知との出会いを教えていただけますか?

はい。私はソウルで生まれ、家族で大阪に移住しました。その後、高校までは大阪で過ごし、大学進学を機に高知へやってきました。これが最初の出会いになります。「せっかくなら一度も行ったことがないところに!」という理由で高知大学を選び、物理学を専攻。博士号まで取得しました。

 

―大学卒業後は何を?

卒業後は、研究員として働いていました。任期付きの研究職なので、任期が満了するとまた別の大学へ行く必要があり、結果、全国の大学を転々としていました。たまたま6〜7年前に、高知大学から仕事のオファーがあって、再び高知に戻ることになったんです。

 

―定期的に職場が変わるのは大変ではなかったですか?

正直、アカデミーの業界では、定職につくまではそれが当たり前とされていて、ある意味通るべき道だったんですよね。むしろ、「定年まで同じ職場で」という働き方はそのうち変わっていくだろうと私は思っていたので、定期的に職場が変わることについては、そこまでの違和感はありませんでした。

また、各地を転々とするなかで、その地域の人、食、お酒などと出会い、徐々に各地での楽しみ方を覚えるようになっていきました。そこでの出会いが次の仕事に繋がることも多くて、コミュニティを広げることの大切さを学んだ時期でもあったと思います。

 

―各地を見てきたからこその高知の良さはありますか?

やはり食べ物ですね!旬のお魚、お野菜、お肉、そしてお酒、どれも最高です。まさに地産地消!高知のものだけを食べて生きていきたいと思っているくらいです(笑)スーパーで売られている鮮魚パックのカツオのたたきですら、ハイクオリティで美味しいんですよ。

あとは自然が素晴らしいですね。空気が美味しいです。高知は都会に比べて娯楽が少ないですが、逆に言えば自由です。高知に来て覚えたのは、「娯楽は自分で作り出すもの」ということ。高知には海、川、山があります。海があれば泳げるし、川があればキャンプやバーベキューができるし、山があったら登山もできます。自然を使って、自分なりに自由に遊ぶことでクリエイティビティが養われます。

■e-Janネットワークス株式会社との偶然の出会い。

―大学の研究員として高知に戻られてから、e-Janネットワークス株式会社にはどのようにして出会ったのですか?

大学の教授会で、高知県内の企業を紹介するセミナーがあり、そこにちょうどe-Janネットワークス株式会社が来ていたことがきっかけです。セミナー後に、教授が「こんなのあるみたいだけど見てみたら?」と資料を見せてくれました。高知に進出したばかりの弊社が、「高知テクニカルセンター」として、県内のエンジニアやアルバイトスタッフの募集をかけていたのです。その時、高知にもこんなIT企業があるのだと興味が湧きましたし、どこか民間企業という世界に興味を持っている自分がいることに気づきました。この先もアカデミーの世界で生きていくつもりで考えていたのですが、違う畑で自分がどう映るのかを知りたいという思いもあって。とりあえず、アルバイトであれば挑戦しやすいので応募してみたところ、まさかの採用をいただき、大学の研究員を本業としながら、高知テクニカルセンターでの副業が始まりました。

 

―偶然の出会いだったのですね!アルバイトではどのようなお仕事をされていたのですか?

自社製品である「CACHATTO(カチャット)」の検証作業をしていました。CACHATTOとは、社外にてスマートフォンやPCなどから、メール、ファイルサーバーなどの社内システムを安全な環境下で利用できる法人向けリモートアクセスサービスのことです。このサービスを出荷する前に、不具合がないかを確認する作業を行っていました。

大学の研究員からいきなりITの世界に飛び込んだのですが、もう毎日の筋トレのように繰り返し作業をしていたので、意外と早く馴染むことができました。

 

―そこから正社員になり現在に至るということなのですね。李さんは現在どのようなお仕事を?

はい。気がついたら正社員になっていました(笑)現在も自社製品の検証作業の延長線上にいます。当初、ひとつひとつの検証作業をすべてスタッフがやっていたのですが、本当にこれは人間がやるべきものなのかと思いまして、すべてプログラム化して自動検証できるようになるといいなと思っていました。その後、この思いは実り、実際に会社の部署としてそのような機能を持った自動テストのユニットを設置してもらい、現在はそのユニットのリーダー職として、マネジメント全般を担っています。

大学の非常勤講師も、週に1回のペースで続けています。まさか、本業と副業が入れ替わるなんて全く想像していませんでした。

社員と製品の相互作用で急成長!高知テクニカルセンターとは?

―李さんが勤めている「高知テクニカルセンター」は、社内でどのような立ち位置になるのですか?

元々は、自社製品の検証機関として高知に開設されました。当初は4名からスタートしましたが、現在は20名近いスタッフが在籍しています。全員が検証員という訳ではなく、総務、経理など、結果的に東京本社のバックオフィス的な立ち位置にまで成長しました。現在は、本社と連携しながら、高知での営業も進めているところです。民間だけでなく、官公庁でもテレワークを検討するところが増えてきて、徐々に浸透してきている感じですね。高知に限らず、地方ではどうしても「オフィスに出社して仕事!」という概念が強いので、まずはそこを柔軟に考え直してもらうところから始める必要があると思っています。

 

―李さん自身はテレワークをされているのですか?

はい。私を含め、高知テクニカルセンター全体として、8割以上はテレワークです。遠いところでは、四万十町や須崎市在住のメンバーもいて、そこからリモートで繋いで通常通り働いてもらっています。私は、気分転換も兼ねて定期的に出社し、社内のメンバーと顔を合わせるようにしています。これは田舎あるあるかもしれませんが、平日にテレワークをしていると、常に車が自宅にある状態なので、近所の方に仕事を辞めたのかと心配されることがありました(笑)

 

―その先進的な働き方に共感し、入社を希望される方も多いのではないですか?

そうですね、弊社は、コロナ前からテレワークのパイオニア企業として様々な制度を導入してきました。テレワーク制度の他、フレックス制度、ワーケーション制度など、弊社は選択肢をたくさん提供している会社なので、そのフレキシブルな面が魅力的に映るのではないでしょうか。ワーケーション制度で言うと、最初は本当に上手くいくのかと議論されていたのですが、やってみないと分からないということで導入されたのが始まりです。すると、案外、旅をしながらでも仕事はできるし、リモートでも問題なく仕事はできるという発見がありました。いろいろな意見を取り入れて、まずはやってみようという社風も弊社の良さだと思います。

さらに、これは自社製品にも通じているんです。フレキシブルな働き方を自分たちで実践して製品にフィードバックをかけたり、逆に製品の機能から自分たちの働き方を変えてみたり。社員と自社製品が、上手く相互作用しながら成長していく感じですね。

 

―なるほど。まさに相乗効果ですね!そんな高知テクニカルセンターでは、どのような方が働いているのですか?

弊社には、Uターンや嫁ターンをきっかけに入社された方が多いです。年齢層は20〜50代と幅広く、司会業、農業、飲食業などと様々な副業をしている多様な人材がいます。言い方を変えると、キャラの濃い人が多いです(笑)そのおかげもあって、毎日が飽きないですし、オフィスはサファリパークのような環境のなかで仕事ができていることに充実感を覚えています。

 

―楽しそうな会社であることが十分に伝わります!

もう、楽しくなきゃ仕事じゃないんですよ!いろいろな人がいるからこそ、いろいろな意見を取り入れて新しいものを生み出す。これをすごく大切にしている会社で、保守的にならないチャレンジャーな社風だと思いますね。弊社は、社長も社員も関係なく、みんな「さん」呼びですし、服装も自由。そんなところも好きです。

仕事もプライベートも大事なのは“フレキシブルさ”

―李さんのプライベートについても教えていただけますか?

もっぱらお酒が大好きで、ほぼ毎夜酒場をハシゴしながら地元の方とコミュニケーションをとっています!前職の仕事柄、いろいろな土地を転々として気づいたのですが、どこかの土地に移住して、そこでやれそうかどうかはその街の夜の酒場の様子で決まると思っています。酒場に出向き、その町の生の情報を得る。それが私の移住後の楽しみ方です。

また、先にお話した通り、移住当初は娯楽の少なさに苦労したのですが、娯楽がなければ自分でつくるという考え方にシフトしてからは、高知暮らしをさらに楽しむことができるようになりました。アウトドア、バンド、YouTubeの投稿など、多趣味に生きています。

―最後に、これから高知へ移住、高知県内のIT企業に転職しようとしている方へのアドバイスをお願いします。

移住に関しては、まずは「全ては夜の酒場が教えてくれる」ですかね(笑)

真面目な話で言うと、正直、正解不正解なんてなくて、結局は「覚悟」と「行動」です!いきなり移住はハードルが高いので、まずは旅行でもいいので、足を運んで見ることが大切だと思います。頭の中でシュミレーションしても限界があるので、少しでも気になっていたら行動することですね!移住したいなと興味を持っている時点で、あなたの移住はもう半分決まっていると伝えたいです。

転職においても「案ずるより産むが易し」です。私のように、ITとは無縁の畑からの人間でもやっていけています。弊社の場合、必ずしも経験者である必要はなく、変化を楽しめる人が向いているのではないかなと思いますね。変化していく社会情勢に応じて社内組織も変わっていきます。そのような変化にフレキシブルに順応できる人であれば、きっと楽しむことができると思います。すべては行動からはじまります。さぁ、動こう若人よ!

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