高知家のIT~Work from KOCHI~

2023.3.6

11月28日(月)エンジニア採用強化につながるイベントを開催しました

ITエンジニアや社内SEを募集したいが、求人への応募人数が少ない、求める人材からの募集がないなどのお悩みがある企業の方も多いのではないでしょうか。

今回は、国内最大手の総合人材サービス会社にお勤めの方、現役エンジニアの方をゲストに、

・高知の企業がIT人材を確保するために必要なこと
・IT求人を見るポイントと魅力的な求人の条件

をお話いただきました。

当日の様子をレポートしますので、エンジニアの採用を考えている企業様の採用活動と、より良い求人票を作るヒントにしていただければと思います。

 

イベント概要

■ 開催日 :11月28日(月)
■ 時間  :14:00~15:30
■ 開催形式:オンライン
■ 参加費 :無料

 

ゲスト

■ 人材サービス会社K氏(総合人材サービス会社にてIT人材採用支援)
■ 祝 圭佑 氏 (エンジニア、ITコンサルタント)
■ 立石 美萌 氏(エンジニア、プロダクトオーナー)

 

 イベントの様子

■ 挨拶、高知県のデジタル化・人材確保支援のご紹介

まずは、司会の小林と高知県庁産業デジタル推進課の弘末からご挨拶の上、今回のイベントの概要をご説明しました。


【第一部】エンジニア採用のプロが生解説!採用トレンドと地方企業におけるIT人材確保の勝ち筋を知る

第一部では、国内最大手の総合人材サービス会社でIT人材の採用を支援しているK氏に、採用トレンドと地方企業におけるIT人材確保について、お話をいただきました。

 

■ データから見る人材採用の傾向

まずは、採用に関するさまざまなデータについて共有いただきました。

2030年には、IT人材が16~45万人不足すると言われています。IT人材の求人倍率は高い傾向にあり、求人倍率が10倍以上になっている企業もあるそうです。

さらに、計画に対して採用ができていない(採用計画未充足の)企業についてのデータもご紹介いただきました。

従業員99名以下の企業規模ですと、60%近くの企業が、採用人数が計画値に届いていないそうです。100~299名規模の会社では50%以上、300~999名規模の会社では40%以上となっています。企業の規模によって計画する採用人数は様々ですが、それでもこれだけ多くの企業が計画通り採用ができていないことがわかりました。

人材確保が全国的に難しくなっており、不足しているIT人材ですとさらに難しいということがいえます。

 

■ ITエンジニアの就業意識は?

一方で、転職をするITエンジニアはどのような意識を持っているのでしょうか。

「ITエンジニアの就業意識に関する調査」によると、キャリアの不安として「技術の陳腐化」「給料が上がるか不安」「新しい技術やスキルの習得」が挙げられていました。特に、技術に関しては他の職種には見られない独特の傾向だそうです。

また、入社の理由としては、「安心して働ける環境」「成長できる環境」「技術を伸ばせる環境」と、キャリア不安の裏返しのような事項が挙げられていました。さらに、「選考の中での期待」という項目もあり、これは後ほど解説がありました。

イベント後半では実際のエンジニアの方に語っていただいたのですが、統計データとしても、エンジニアが不安に感じるポイントや魅力に感じるポイントが分かったのではないでしょうか。

 

■ 採用・人材確保の成功に向けて

ではどうすれば不足しているIT人材を確保できるのでしょうか?これについては、3つの手段をお話いただきました。採用に悩まれている企業様は、ぜひ参考にしてみてください。

1、お金をかける

1つ目は、「お金をかける」ということです。実際はお金をかけるだけで採用ができるというわけではないのですが、お金をかけずに待つのか、投資をして積極的に採用をしていくのかで結果は変わってきます。

企業の広報や求人の露出を増やすなど、お金をかけて情報発信をすることで全国の候補者にアプローチすることができます。様々な有料の採用手段もあるので、企業・職種にあった採用手段を使うことも非常に重要です。

また、地方の中小企業でも、有料の求人サイトや転職エージェントを活用するケースが増えてきているそうです。

 

2、外部人材を活用する

2つ目は、「外部人材の活用」です。採用が難しい傾向にあるので、副業や業務委託など、外部の人材を活用することも視野に入れておくことが必要です。

外部人材を活用するには、ジョブを分ける(仕事を切り分ける)こと、オンラインでの勤務体制を作ることが必要になります。昨今のテレワークの広がりや副業解禁により、都市部にいてリモートで地方の仕事を副業や業務委託で行う、という働き方も増えてきています。

そのような人材を活用することは、採用が難しい中で非常に重要な選択肢になりますし、仕事の切り分けやオンラインでの勤務に慣れておくというのも重要です。

 

3、育てる

3つ目は、「育てる」ということです。採用が難しいという状況の中、採用ができるまで待ち続けるのか、多少スキル不足でも人材を育てていくのか。同じ半年〜1年の時間があるとしたらどちらの方が良いでしょうか。

今は、オンライン教育が充実しているので、会社の教育制度に取り入れるのも良いでしょう。

 

■ すぐできる採用Tips

最後に、すぐできるポイントとして、「企業目線でやってほしいこと」を書くのではなく「採用したい人(ターゲット)目線で内容を考えること」をやってほしいと教えていただきました。つまり、「採用に関してもマーケティング思考を持つこと」です。

まず重要なのは、ターゲット(誰に)です。「ターゲットはどんな人か?何を考えている人か?」そこから逆算して、自社の強みや魅力をまとめ、個別に伝えていくことが必要です。ターゲットがどんな人かわからない場合は、その人が集まる場(イベントやコミュニティなど)に出かけて実際に話を聞いてみましょう。

また、採用面接の中でどのような話をしていくのか、面接官だけではなく、ターゲットに応じていろんな社員を合わせることも重要です。

選考を受ける方にとって、転職は重要な決断ですし、不安になることもあります。そこで、そのかたが重視していることを大事にしたり、不安に感じるポイントを払拭できるような選考・面接を心がけましょう

IT人材の採用に慣れていない方は、どうしても「企業目線でやってほしいこと」を求人に書きがちだと思いますが、ターゲットを考え、その人の目線で内容を考えることを意識してみてはいかがでしょうか。

 

参加者からの質疑応答

参加されていた企業の方からも、たくさんご質問をいただきました。

Q.自社にあった求人媒体(求人メディア)をどのように選べば良いでしょうか?

A.求人メディアは複数ありますが、それぞれどんな方がみているものか、どの層に強いのか(ITエンジニアの経験者なのか、第二新卒なのか、など)、をまずは把握しましょう。これも採用したいターゲットをまず決め、それにあったものを選ぶのが重要です。各メディアの特徴は、ホームページやサービスの営業担当の方に問い合わせて相談してみるのが良いです。

Q.Iターンの若者を採用するためのコツは?

A.これは、観光・ライフスタイル・行政のサポートなど複合的に地域の魅力を作らないといけないので、一社だけでは難しい面があります。ただ、20・30代の方が求める働き方は従来からは変わってきています。オンラインで仕事ができる職種は人気ですし、やりがいや高知ならではのライフスタイルを重視する人もいます。やはりターゲットを理解して、その人が魅力的に感じる環境を作っていくことが必要だと思います。

 

【第二部】現役エンジニアが生解説!IT求人を見るポイントと魅力的な求人の条件とは?

第二部はエンジニアの方2名にご登壇いただき、IT求人を見るポイントと魅力的な求人の条件について、実際の求人を見ながらお話をお伺いしました。

■ ゲスト

祝 圭佑 氏 (エンジニア、ITコンサルタント)
製造業の会社でエンジニアを経験し、現在はITコンサルタントとして提案業務を中心にお仕事をされています。

立石 美萌 氏(エンジニア、プロダクトオーナー)
株式会社ミロクリエにて、製造業の業務効率化などに携わっていらっしゃいます。プロダクトオーナーとして、現場の方から課題や要望を聞いて、それをもとにシステム開発をされているそうです。

そして今回は、「株式会社オフィスパートナー」様に、システムエンジニアの求人をご提供いただきました。この求人を見ながら、ゲストのお二人に色々と意見を聞いていきました。

システムエンジニアを募集するこちらの求人について、まずはお二人に第一印象を伺いました。

祝氏には、内容が結構曖昧な印象があったそうです。記載されている業務を全て一人でやるのか、必要なスキルについても「あれば尚可」という記載は逆に「誰でもいいんだな」というふうに見えてしまうとのことでした。

立石氏も同じ印象を受けたそうです。特に仕事内容は社外・社内のどちらに向けてのものかが書かれていないことに関して、業務範囲のイメージがしづらいとのコメントをいただきました。

では具体的にどのように修正すると良いか、それぞれご意見を伺いました。

 

■ 祝氏からのコメント

  • 業務内容に関して、最初はどういったことをお任せしたい、それができたら…というようにステップとともに記載する
  • 経験の有無に関しては具体的にどういった経験があった方が役に立てるのかを記載する
  • マインド面として、新しい技術を歓迎したい、などの要望を記載する
  • リモートワークの可否や頻度など、出社条件を記載する

 

■ 立石氏からのコメント

  • 経験の有無に関しても記載が具体的にある方が、若手の方だけでなくベテランの方にもイメージがしやすい
  • 今回の求人の業務内容の目的があるとわかりやすい(例えば売上を上げるための新規案件、など)
  • 一人で担当するのかチームワークで動くのかの体制を記載する

かなり具体的な意見が出たので、参加された企業の皆様も参考になったのではないでしょうか。

 

■ まとめ

コメントをいただいた意見をまとめると、こちらのようになります。

エンジニアは「自分のスキルを活かすことができるか、伸ばしていけるのか」を見ているため、「どんな業務内容なのか、どんなスキルが必要なのか」がわかるように求人を記載する必要があります。

エンジニアの仕事内容を詳しく記載するのが難しいという方は、社内のエンジニアに業務内容をヒアリングするなどして、エンジニアと一緒に求人を作ることが重要です。

エンジニアからの生の声が聞けて、参加者の方々にはとても参考になったようでした。

 

■ 質疑応答

最後に、第一部、第二部を通して参加者の方々から質問を受け付けました。

Q.基本的にオフィス出社ができるエンジニアを採用したいのですが、厳しいでしょうか?

A.どのようなタイプのエンジニアを採用したいかによります。ハードウェアを取り扱ったり、現場・お客様先に行かないといけない職種のエンジニアですと元々リモートワークをしていないですし、face to faceのコミュニケーションを重視するタイプのエンジニアもいます。そのようなタイプですと、そこまで厳しい印象ではないです。

ソフトウェア中心で、場所を問わない働き方が普段からできる職種のエンジニアですと、リモートワークを部分的にでも取り入れると応募はしやすいと思います。

仕事内容、会社の社風によっては出社を希望するエンジニアもいるので、そこをターゲットにするのが良いかと思います。

 

Q.お二人が過去に登録されていた転職サイトがあれば教えてください

A.祝氏「ビズリーチさんやエンジニアハブなどを使いました。」
立石氏「求人サイトは使っていませんが、LinkdinなどSNSを使って情報収集していました。」

他にも、具体的な質問があり、参加されている企業の方にとっても貴重な機会となったようでした。

最後に

たくさんの質問やコメントをいただき、非常に盛り上がったイベントとなりました。

イベントの終わりには30分ほど、希望する方に残っていただいてゲストとの交流会&質問会を行いました。

交流会では、今自社で出している求人に対してどんな文言やタイトルをつけたら魅力的に見えるか、エンジニアの心理など具体的な相談や意見交換がされていました。

今回のイベントでは、エンジニアの採用のプロや実際のエンジニアから意見を聞くなかなかない機会となり、参加者の方々も非常に参考になったそうです。

エンジニアの採用が全国的に難しくなる中、企業の方には採用強化のヒントになれば幸いです。

 

参加者からのコメント(一部)

  • 現場の生の声が聞けてよかった。
  • 現役のエンジニアさんからお話を聞けたのがとても印象的でした
  • なるほど納得感のある内容でした
  • 現役エンジニアさんの求人を見るポイントがとても参考になりました。
  • ターゲットの具体化と、求人票と入社条件のバランスについて、中途に限らず新卒へも反映させます。ありがとうございました
  • 実際にエンジニアの方が転職される際に重要視するポイントをお聞きできてよかったです。まずは企業側がマーケティング視点でちゃんとターゲットの層を定め、その層に刺さるコンテンツ(求人票等)づくりをしていくことが大切なのだと感じました。
  • 交流会のセッティングが良かった

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